今朝のメニューは、
これまでの振り返りを兼ねた、
「障害者に関する根幹の法律」
の養成訓練です。

【Exercise2】「障害者と歩む」では、
大別して、
「障害者をめぐる根幹となる法律」と
「障害保健福祉政策に係る法律」
の2つを扱いました。
そのうち、後者については、
【第6回】「んっ、衆法・参法・閣法?」において、
法律ごとの立法過程を付記した上で、
その全体像にざっと目を通した結果、
衆法、参法、閣法という3つ形態が混じり合って、
それぞれの法律が成立し、改正される様子を
垣間見ることができました。
それでは、前者の
「障害者をめぐる根幹となる法律」については、
どのような立法の形態になるのでしょうか。
今からワクワクしますね。毎度のこと、
題名が改められたハイライトシーン
だけを切り取ることにしましょう。
このような話題の切り分け方については、
〇 「おきてのみやげ」の序盤では、
読み応えがあるように、テーマの全体像を
綺麗にとらえようとしていましたが、
〇 中盤以降では、子細な部分を切り取って
詳解していく
という風潮が見え隠れしているように
感じますね。
そうこうしているうちに、
養成訓練の幕が上がりました…
Table of Contents
1 障害者基本法
昭和45年5月12日、衆法(社会労働委員長)として、
「心身障害者対策基本法」(昭和45年法律第84号)
が成立し、同月21日に公布されました。
⇓
その後、平成5年11月26日、衆法(厚生委員長)として、
「心身障害者対策基本法の一部を改正する法律」(平成5年法律第94号)
が成立し、同年12月3日に公布され、題名が、
「障害者基本法」
となりました。
現在も、この題名のままです。
補足として、その後の経過は、
平成16年5月28日、衆法(内閣委員長)として、
「障害者基本法の一部を改正する法律」(平成16年法律第80号 )〔第2次改正〕
が成立し、同年6月4日に公布されました。
平成23年7月29日、閣法として、
障害者権利条約の批准(平成26年1月)を視野に入れた、
「障害者基本法の一部を改正する法律」(平成23年法律第90号)〔第3次改正〕
が成立し、同年8月5日に公布されました。
2 発達障害者支援法
平成16年12月3日、衆法(内閣委員長)として、
「発達障害者支援法」(平成16年法律第167号)
が成立し、同月10日に公布されました。
現在も、この題名のままです。
3 障害者虐待防止法
平成23年6月17日、衆法(厚生労働委員長)として、
「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成23年法律第79号)
が成立し、同月24日に公布されました。
現在も、この題名のままです。
4 障害者優先調達推進法
平成24年6月20日、衆法(厚生労働委員長)として、
「国等による障害者就労施設等からの物品の調達の推進等に関する法律」(平成24年法律第50号)
が成立し、同月27日に公布されました。
現在も、この題名のままです。
5 障害者差別解消法
平成25年6月19日、閣法として、
障害者権利条約の批准(平成26年1月)を視野に入れた、
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号)
が成立し、同月26日に公布されました。
現在も、この題名のままです。
上記2以降は、平成の後半に制定された新人の法律
ですので、制定時の題名のまま現在に至っています。
6 立法過程を俯瞰すると
上記1~5までをサラッと眺めてみると、
次のような特徴が思い当たります。
① 3つの立法の形態のうち、衆法が多い。
② 時折り、閣法が顔を出す、
上記①については、
衆法や参法などの議員立法では、主に、
・ 基本法的な性格の法律、
・ 府省間の権限が錯綜している内容の法律、
・ 府省間の消極的権限争いとなりやすい分野の法律
を手掛けている趨向にあり、
上記1~4に掲げる法律は、そうしたものと考えられます。
また、②については、
上記1の障害者基本法に係る平成23年改正と
上記5の障害者差別解消法
が閣法でした。
そして、その共通項は、
障害者権利条約の批准(平成26年1月)を視野に入れた
法整備の一環であった点です。
すなわち、障害者権利条約の内容は、
一般原則や一般的義務のみならず、
教育、健康、労働及び雇用、社会保障など
幅広い分野に及び、それに向けた法整備の対象となる
国内法も多岐にわたることから、
そうした各法律を所管する府省庁における立案作業も
相当複雑かつ幅広にならざるを得ません。
しかも、対象となる法律の本文改正のみならず、
附則による膨大なハネ改正も考慮すれば、立法実務上、
閣法として法案を取りまとめることが適切です。
その意味で、当時、政府が改革推進本部を立ち上げ、
各府省庁における所管制度の改革に向けた進行状況に対し、
政策分野ごとの工程表を通じて、大局的に府省庁を
グリップする仕組みは、効率的かつ効果的であった
と考えられます。
ちょっと論考をしたような
気分になったところで、
今朝のExerciseは、これでおしまいです。
それではまた、
近いうちにお会いしましょう。