今朝の Exerciseは、さらっと、
「福祉六法」のセグメント(segment)です。

福祉に関する法律が想定する対象者について、大雑把にとらえると、高齢者や児童、障害者、ひとり親家庭などが思い浮かびます。
ところで、【Exercise2】「障害者と歩む」では、
「障害者をめぐる根幹となる法律」
「障害保健福祉施策に係る法律」
を取り扱いましたので、
ここでは、障害者に係る福祉のカテゴリー(category)を除きましょう。
また、公的扶助としての「生活保護」は、戦後間もない頃に誕生した、いわゆる「福祉三法」の一角ですので、含めて扱います。
毎度のこと、題名が改められたハイライトシーンだけを切り取ることにしましょう。
法律の題名という「名目」が改められるということは、その舞台裏で、法律の内容という「実質」が大胆に見直されたことを意味します。
それでは、「福祉」の幕を上げましょう…
1 福祉関連
いわゆる「福祉六法」に掲げられるような、主要な法律を取り上げます。
(1)老人福祉法
昭和38年7月6日、閣法として、
「老人福祉法」(昭和38年法律第133号)
が成立し、同月11日に公布されました。
その後、累次の改正が行われていますが、現在も、この題名のままです。
(2)児福法
昭和22年11月21日、閣法として、
「児童福祉法」(昭和22年法律第164号)
が成立し、同年12月12日に公布されました。
その後、累次の改正が行われていますが、現在も、この題名のままです。
(3)母子父子寡婦福祉法
昭和39年6月12日、閣法として、
「母子福祉法」(昭和39年法律第129号)
が成立し、同年7月1日に公布されました。
⇓
その後、昭和56年6月5日、衆法(社会労働委員長)として、
「母子福祉法の一部を改正する法律」(昭和56年法律第79号)
が成立し、同月11日に公布され、その題名が、
「母子及び寡婦福祉法」(昭和39年法律第129号)
となりました。
⇓
平成26年4月16日、閣法として、
「次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律(平成26年法律第28号)
が成立し、同月23日に公布されました。
同法第2条により、
「母子及び寡婦福祉法の一部改正」
が行われ、その題名が、
「母子及び父子並びに寡婦福祉法」(昭和39年法律第129号)
となりました。
現在も、この題名のままです。
(4)社会福祉法
昭和26年3月26日、閣法として、
「社会福祉事業法」(昭和26年法律第45号)
が成立し、同月29日に公布されました。
⇓
その後、平成12年5月29日、閣法として、
「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」(平成12年法律第111号)
が成立し、同年6月7日に公布されました。
同法第1条により、
「社会福祉事業法の一部改正」
が行われ、その題名が、
「社会福祉法」(昭和26年法律第45号)
となりました。
現在も、この題名のままです。
2 生活保護関連
(1)生活保護法
昭和25年4月29日、閣法として、
「生活保護法」(昭和25年法律第144号)
が成立し、同年月5月4日に公布されました。
現在も、この題名のままです。
その際、附則第2項により、
旧生活保護法(昭和21年法律第17号)は、廃止されました。
つまり、旧生活保護法を廃止して、現行の生活保護法を制定したわけです。
双方の題名が同じなので、廃止されたほうの法律を、
「旧生活保護法」とか、「旧法の生活保護法」
と称して、区別しています。
あれっ、これと似た話、どこかで聞き覚えがありますね。
そういえば、【第1回】「んっ、法律の「題名」を改めた?」の4で、旧労働組合法(昭和20年法律第51号)と現行の労働組合法(昭和24年法律第174号)が登場したかと思います。
現行の労働組合法は、確か、全部改正の方式でしたね。
ここで面倒くさがらずに、生活保護法の附則を確認しておきましょう。
〇 生活保護法(昭和25年法律第144号)
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行し、
昭和25年5月1日以降の給付について適用する。
(生活保護法の廃止)
2 生活保護法(昭和21年法律第17号。
以下「旧法」という。)は、廃止する。
(経過規定)
3 この法律の施行前においてされた保護の決定は、
この法律に基いてされたものとみなす。4 この法律の施行前において、都道府県の設置
した保護施設及び旧法第七条の規定により認可
された市町村又は公益法人の設置した保護施設は、
この法律に基いて設置され、又は認可された
保護施設とみなす。
5 市町村及び公益法人以外の者で、
この法律の施行の際現に旧法第七条第二項の規定
による認可を受けて保護施設を経営する者が、
この法律の施行後引き続きその保護施設を経営
するときは、この法律の施行後三月間は、
その保護施設は、この法律に基いて認可された
保護施設とみなす。
6 この法律の施行前において、生活保護法施行令
(昭和二十一年勅令第四百三十八号)第六条又は
第七条の規定により厚生大臣の指定した医療施設
並びに市町村長の指定した医師、歯科医師、薬剤師
及び助産婦は、この法律に基いて厚生大臣又は
都道府県知事の指定した医療機関及び助産機関とみなす。
7 この法律の施行前にした違反行為に対する罰則
の適用については、なお従前の例による。
廃止された 旧生活保護法 の下において行われた様々な取扱いについて、きちっと、経過措置(第3項から第7項まで)を定めているのが分かります。
きりの良いところで、今朝のExerciseは、手短におしまいにしましょう。
それでは、また。